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2012年8月17日金曜日

「たまゆら」のメッセージ

昨日のことですが、「たまゆら〜hitotose〜」の第5.5話「あったかい風の想い出、なので」を、お盆に合わせるカタチでまた観てしまいました。いったい何度観たことでしょ〜か w この回に限らないことですが、「たまゆら」シリーズは、他のアニメ作品と比べて飛び抜けて再生回数の多い作品となっています。

もちろん、100%どこもかしこも全てが素晴らしい作品だと思っているわけではなくて、不満に感じてる点だっていくつもあるのですが、それでもやはり良い作品だと思いますね〜。

OVAとして発売された「たまゆら」が全4話、放送された「たまゆら〜hitotose〜」が全12話、そして先ほど観た番外編の第5.5話を加えて、現在のところ全部で17話。

この作品を特徴付けているのは、主人公の父親の死をスタート地点としているところでしょう。そして、悲しみで満たされた主人公の心が回りの人たちや風景によって少しずつほぐれていく・・・それは強い気持ちを持つことで乗り越えるとかそういったものでは決してなくて、時間をかけてゆっくりと、でも確実に心に変化が生まれていく・・・そうした過程を少しも暗い感じにすることなく描いているところは、本当に素晴らしいと思います。

そうそう、この第5.5話が公開されたあとで、主人公の母親役を演じている緒方恵美さんが「たまゆら」についてブログで書いています。その中の「大好きなんだ」から始まる正直な心情を書いた箇所がすごく良いんですよね〜。ぜひ。まぁ、タイトルがあれですが w


(今のところの)最終話である「たまゆら〜hitotose〜」第12話「新しいひととせ、なので」で、次のようなセリフがあります。

  • 沢渡楓:山が朝日で光ってる!
  • 桜田麻音:これも山からは見られない景色。
  • 塙かおる:そうだね。
  • 塙さよみ:きっと、あの山は自分があんなにきれいだって知らないわね・・・みんなと同じ。
  • 塙かおる:みんなって・・・私たち?
  • 塙さよみ:うん。夢の途中にいると迷ったり悩んだりして気がつかないかもしれないけれど、でも本当はね、誰の目にもまぶしいくらいにみんなとっても輝いてる・・・あの山のようにね。

これはもちろん、キャラを通しての、キャラに近い年齢の人たちへの佐藤順一監督からの応援メッセージでしょうけれども、同時に、キャラを演じている声優さん達への監督からのメッセージだとも思っています。そして、きっと、監督やスタッフの家族へのメッセージでもあるでしょう。

さらに、「たまゆら」という作品を天国にいる主人公の父親の側に立って考えてみれば、遺した家族に対して、特に子供達に対して、自分がもし亡くなることがあれば、死の悲しみにはこのように向き合って欲しいという父親としての願いが込められていると受け取ることもできるように思います。監督やスタッフからの、親として子に送るメッセージ、つまり、思い切った言い方になりますが、「たまゆら」という作品全体が親から子への遺書となっているのではないでしょうかね〜。

子が父親の死に抱いていた悲しみの感情がほぐれていく過程を描くと同時に、天国にいる親もまた、遺した家族が前に進めるようにそっと背中を押しているんだよ(押すつもりだよ)、というメッセージが込められているようにも感じられるところが、自分が惹かれている大きな原因なのかもしれません。