2018年8月1日水曜日

『ハーモニカとカヌー』読了


『ハーモニカとカヌー』(野田知佑、新潮文庫)を読み終わりました。

第二章で椎名誠さんと安曇野で対談したことがチラッと書かれてあります。焚き火をし、北アルプスの山々を眺めながらの対談だったようですが、どこでしょうかね〜。

第三章では故 星野道夫さんについて書かれた箇所があって、野田さんと星野さんという自分が敬愛する二人の接点にはグッとくるものがありました。

この直後に、野田さんの次のような言葉があります。

社会的弱者にやさしくするというのは成熟した大人の精神を持つ人間集団の特徴だよ

そして、日本については

老人や身障者の扱いは三流国なみだ。社会的に役に立たないものは一人前に扱われない。野蛮な国だ。大人から子供にいたるまで弱い者苛めが流行している。

かなり前に書かれた文章ですが、現在でも人を生産性が有る無しで判断しようとする政治家がいたりするなど、我々は精神的にまったく成長していないようですねぇ。

弱者が暮らしやすい社会というのは誰にとっても暮らしやすい社会のはずですが、そういうことに思い至らないのか、弱者に手を差し伸べることを否定するような連中が増えてきているような殺伐とした空気感はなんとか変えていきたいものです。

以前にも書きましたが、日本に散々幻滅してきたであろう野田さんが、それでも日本に住み続けてくれていることの意味、有り難さをよく考える必要があるように思います。