2019年10月12日土曜日

昔のお酒


いつも読むのを楽しみにしている開物発事さんのブログ「ものづくりとこだまの国」からです。

紹介されている「酒造免許をもつ神社」の地図を眺めながら、長野県内には一箇所だけかァ、隣の岐阜県には・・・そういえば、飛騨一宮水無神社にはアニメ「氷菓」の聖地巡りで訪れたっけ、などと考えていたわけです w

で、岐阜県でアニメといえば、新海誠監督の映画「君の名は。」だな、と。

ヒロインの宮水三葉とその妹の四葉は宮水神社の巫女を務めていて、神事として二人が行った「口噛み酒」を造るシーンは良くも悪くも話題になりました。

日本列島での米の口噛み酒は、縄文時代後期以降であると考えられている。『大隅国風土記』の逸文に、酒を造ることを「かむ」というとあり、大隅国では、水と米をある家に用意し、村中に告げ回ると男女がその家に集まって米を噛んで酒船(酒専用の容器)に吐き入れたのち帰宅し、酒の香がしてきたころにまた集まって、噛んで吐き入れた者たちが飲む、これを口噛の酒と呼ぶ、とある。各国の風土記(古風土記)は8世紀前半までに編纂されたとされるが、8世紀初頭に書かれた古事記・日本書紀に口噛み酒の記述が滅多に見られないことから日常的ではなかったと思われる。
大和(古代日本)や台湾では、口噛み酒は神事の際にも造られていた。このため、神事で醸す場合には、原料を口で噛む人間として巫女や処女が選ばれていた。中国ではこれを「米寄(拼音:mǐjì〈日本語音写例:ミィーチー〉)」といった。琉球地方でも同様に「ウンシャク」「1日の酒」など島々によって様々な名で呼ばれる口噛み酒が神事のために造られており、明治時代までの沖縄地方(かつての琉球地方)でも祭事の際にサトウキビの茎で歯を磨いた少女たちが米飯を噛んで酒を造っている地域があった。 
日本語において「醸造」を表す動詞「カモス(醸す。繁体字使用形:釀す)」は、「口噛み酒」という語の構成要素である「カミ(噛み)」と同根で、「カム(噛む)」が語源であるとする説がある。しかし、昭和時代の醸造学者・住江金之は、1930年(昭和5年)刊行の著書『酒』(西ヶ原刊行会)にて、「カモス(醸す)」と「カム(噛む)」は別系統の語であると指摘したうえで、「カモス(醸す)」とその原形である「カム(醸)」、および、「カム(醸)」の異形である「カブ(発酵して黴かびが生じること)」は、相通じていると分析し、以来、住江の説が多くの支持を集めている。 
2004年(平成16年)、東京農業大学教授(当時)の小泉武夫が研究室の女子学生4名に口噛み酒の実験をさせたところ、3日目の夕方から発泡が始まり、10日目に発酵が終わってアルコール度数が9.8%の酒ができていた。米を噛んでいる時に耳の側が痛くなったという体験者のコメントから、このようなことが「こめかみ」の語源になっているという推測もなされた。 

口噛み酒を神事として実際に造っている神社等はもはや無さそうですが、もし味わう機会があるのであれば、ぜひ味わってみたいと自分は思っています。