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2020年11月16日月曜日

『岬のマヨイガ』読了

『岬のマヨイガ』(柏葉幸子、講談社)を読み終わりました。

面白かったです。こうした民俗学的な要素が散りばめられている話には、どんどん引き込まれてしまいますね〜。遠野も登場しますし。

柏葉幸子さんの著作というと、ジブリ作品「千と千尋の神隠し」の構想の元となったと言われる『霧のむこうのふしぎな町』が有名ですけれども、この『岬のマヨイガ』に登場する少女も千尋同様に失った名前(←名前だけでなく声も)を取り戻す過程が描かれているわけで、共通する部分を感じます。

そういえば、海ヘビの化け物ですが、水島努監督のアニメ「迷家-マヨイガ-」(2016年4月放送開始)に登場する化け物「ナナキ」のコンセプトと似ている部分があるような気も w

ちなみに、『岬のマヨイガ』は2014年5月から「岩手日報」の「日報ジュニアウイークリー」で連載開始。単行本第一刷は2015年9月です。

この作品は東日本大震災の津波による災害、そして人々が立ち上がる様子を扱っています。ノンフィクションではなく、物語として当時の津波や被災地の様子を描いた作品を自分は他に知らないのですが、かなり考え抜かれた描写となっているのではないでしょうかね〜。岩手県出身だという著者の被災地に寄せる想い、そして確かな技量がなければ完成しなかった作品かもしれません。