2012年9月29日土曜日

『遠まわりする雛』 感想

『遠まわりする雛』(米澤穂信 角川文庫)を読み終えての感想です。

この本は短編集ということで、以下の7つの作品が入っています。

  • 「やるべきことなら手短に」
  • 「大罪を犯す」
  • 「正体見たり」
  • 「心あたりのある者は」
  • 「あきましておめでとう」
  • 「手作りチョコレート事件」
  • 「遠まわりする雛」

『氷菓』、『愚者のエンドロール』、『クドリャフカの順番』という長編作品で扱われた出来事の間を、それぞれの話が時系列的に埋めていくというカタチになっています。

この短編の中で、アニメ化されるにあたってストーリーに変更が加えれているものがいくつか。特にクライマックス周辺で変わっているのが、「正体見たり」、「手作りチョコレート事件」、「遠まわりする雛」の3つ。

「正体見たり」と「手作りチョコレート事件」は、原作だと少しシビアに感じられる面をフォローするカタチで手が加えられています。「遠まわりする雛」は、最後の千反田えると折木奉太郎が会話をするあの場面の場所そのものが変えられています。

で、自分としては、アニメでの変更のほうを賞賛したいですね〜。この変更は本当に見事だと思います。もちろん、物足りない部分はあるのですが、原作者が「良し」としても、読者が「まだまだ」と感じたところを上手く補ってくれたという感じでしょうか。奉太郎流に言えば「補足」してくれたということになりますかね〜。

原作としての古典部シリーズで考えてみても、この本はかなり完成度の高いものだと思います。とても面白く読むことができました。