2012年9月26日水曜日

『氷菓』 感想


『氷菓』(米澤穂信 角川文庫)を昨日読んだので、その感想を。

アニメの「氷菓」のほうを何度も繰り返して観ていて、アニメ化にあたって原作のどのあたりが取捨選択されたのかに興味があったので読んでみることにしたわけです。

アニメにしろ原作にしろ、この「氷菓」という話は、クライマックスの司書室で千反田えるが涙を流す場面にどう持っていくか、そして、えるの涙をどう描くかにかかっていると自分は考えているのですが・・・。

皆の視線が、千反田に集まる。
千反田の瞳に、潤みがさした。俺はそれで悟った。
  • 『氷菓』米澤穂信 角川文庫 p205

Twitterでも書きましたが、そういう点で原作はあっさりし過ぎているという印象ですね〜。千反田えるがずっと探し求め続けていた答えが出た瞬間なのですから・・・正直に言って、ここはアニメの演出のほうが格段に素晴らしいと思います。

もうひとつこの司書室でのことを書くと、アニメで糸魚川養子先生を演じた小山茉美さんの演技の素晴らしさが、原作を読むことで改めて認識されたということ。例の事件が起きたときの時代の空気、雰囲気といったものを体験してきた人の話し方・・・そんな感じを本当に上手く演じられていたのではないでしょうか。

語り口は淡々として感情は交じらず、俺はそこに三十三年という年月を感じた。
  • 『氷菓』米澤穂信 角川文庫 p198

原作だけでは、糸魚川養子先生のこうした抑揚を押さえたしゃべり方、そしてその背景にある時代の空気感みたいなものをイメージし難いように感じます。

ちなみに、小山茉美さんというと、「Dr.スランプ アラレちゃん」で則巻アラレを演じた人です w


ともかく、「氷菓」という話に関しては、原作を読むことで、アニメの完成度の高さを再認識させられたということになりますね〜。

ちなみに、アニメの「氷菓」の感想はこちら。


感想とはちょっと異なりますが。