2012年10月10日水曜日

「氷菓」OPの意味

10月7日にUstで放送された「氷菓ミステリーツアー」第6回で、パーソナリティを務める烏田裕志さんが「氷菓」OPアニメーションについて面白い指摘をしていたので、自分なりの解釈を加えつつ書き留めておくことに。

まず、このOPというのは、第13話「夕べには骸に」から登場した「未完成ストライド」のことです。

「未完成ストライド」の曲に合わせて展開するOPアニメーション・・・古典部部室での会議の途中で折木奉太郎が居眠りをしてしまって、その夢の中で・・・という内容ですが、それが何を意味しているのか、というのが烏田さんの注目点だったわけです。

ところで、第4話「栄光ある古典部の昔日」の冒頭、奉太郎と福部里志が自転車で千反田えるの家に向かうシーンがありますが、そこで、高校生活や人物を色に例える会話があります。「薔薇色の高校生活」だとか、奉太郎の場合は「灰色」で、里志は「ショッキングピンク」だとか。あるいは、「僕が貶める時には、君は無色だって言うよ」という里志のセリフ。

烏田さんは、こうした色がOPアニメーションに反映されているのではないかと話していたわけです。夢の中で、奉太郎が水に落ちて無色の存在になり、いろいろな場所を巡ったあと、古典部の部室で色の付いた存在へと戻るということを表現しているのでは?という内容です。

補足しながらまとめると、

  1. 水に落ちる、つまり、自分を里志の言う「無色」の存在に貶めてみる。
  2. 縁のあったヒトや場所を、「無色」の存在として振り返ってみる。
  3. 誰からも気付いてもらえず、「灰色」どころではない存在感の無さを体験。
  4. 「無色」の存在から脱却するべく、カラーチョークで絵が描かれた黒板を通過。
  5. 古典部部室に戻り、えるの力によって「薔薇色」の高校生活に戻ってくる。

・・・というわけです。

奉太郎自身は自分を「灰色」だと認識していて、「薔薇色」も良いかななどと思い始めたところなのですが、第三者からすれば奉太郎の高校生活というのは、すでに立派な「薔薇色」なんですよね〜。本人が自覚していないだけで。OPアニメーションの結末のいたずらの場面なんて、「薔薇色」の高校生活を送っていないと体験できないことでしょうし。

このOPアニメーションについては、ほかにもいろいろな見方ができそうです。こうした話の広がりを期待できるところが、「氷菓」という作品の魅力のひとつですよね〜。