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『徒然草』の第二百十五段に
銚子に土器とりそへて持て出でて、『この酒をひとりたうべんがさうざうしければ、申しつるなり。肴こそなけれ、人はしずまりぬらん。さりぬべき物やあると、いづくまでも求め給へ』とありしかば、脂燭さして、くまぐまをもとめし程に、台所の棚に、小土器に味噌の少しつきたるを見出でて、『これぞ求め得て候』と申ししかば、『事足りなん』とて、心よく数献に及びて、興にいられ侍りき。
という、ある夜に平宣時朝臣が五代執権の北条時頼に急遽呼び出されて、小さな素焼きの皿についた少しの味噌を肴に二人で気持ちよく飲んだという思い出を語る話があるのですが、安価な酒の肴というといつもこの話を思い出します。