多くの人々が現実世界で「自分の主観からだけしか世界を観察せず、他者の視点を思いやれず、善悪を単純に判断している」ことが、様々な社会的対立や戦争を助長している。高畑の価値基準に照らせば、宮崎の映画は、他人の立場を思いやれない『思い入れ人間』を増やし、現実社会をより愚かにすることに手を貸していることになりかねないのだ。
高畑は自作の興行成績にはほとんど頓着しなかった。彼にとって最も重要なのは、作品の「表現としての新しさ」と「社会的な文脈から見た時の正しさ」だった。
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「自らのイマジネーションをアニメによって具現化したい」という衝動に取り憑かれた宮崎駿監督と言えども、高畑勲監督が重要視していた点は常に意識せざるを得なかったでしょうね〜。一見すると純粋な娯楽作品に見える作品の公開後に宮崎監督が何やら反省の言葉を発したりしたことがあるのも、そういうところに後ろめたさがあったからなのかも。
次作「君たちはどう生きるか」は、宮崎監督が当初思い描いていたものとは異なる内容の作品になるかもしれませんね〜。
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