なぜ「ロシアもウクライナも両方悪い」という議論が適切ではないのか。それは国際社会にもルールや規範があるから。ロシアの行動は、国連憲章2条4項の国際紛争解決のための武力行使を禁ずる国際法違反。ウクライナの行動は、同51条の個別的自衛権行使に基づくもの。
プーチンや反米親露のメディアや知識人の主張に耳を傾ける前に(基本的に武力行使禁止の免責条項にはならない)、まずは国際法上違法性の高いロシアの武力攻撃が、どういう論理で合法性の担保が可能か考えるべき
国際法を無視した侵略的な武力攻撃、さらには無差別な一般市民の殺戮は悪であるが、そのような侵略から国民の生命を守るために自衛的措置をとる行動は、合法であり正当な行動である
現状の国際社会は完璧ではないが、法と規範も存在。
今回のロシアの行動を放置すると、国際法や国際的規範に基づいた国際秩序が瓦解すると思う。そうなれば、「法の支配」ではなくて核兵器の数によって国際紛争が解決される時代へ。
なぜ「ロシアもウクライナも両方悪い」という議論が適切ではないのか。それは国際社会にもルールや規範があるから。ロシアの行動は、国連憲章2条4項の国際紛争解決のための武力行使を禁ずる国際法違反。ウクライナの行動は、同51条の個別的自衛権行使に基づくもの。国連総会も日本政府も、それに賛同。
— Yuichi Hosoya 細谷雄一 (@Yuichi_Hosoya) March 26, 2022
それを正当と認めたら、日本にネオナチがいるということで、中国が「非ナチ化」といって日本に武力攻撃する理由になる。他方中国では、言論の自由が大幅に制約されているので、日本のように自由にネオナチが活動できる土壌ではない。ロシアのウクライナ攻撃の正当化は、中国の日本攻撃の誘因になる。
— Yuichi Hosoya 細谷雄一 (@Yuichi_Hosoya) March 28, 2022
「ネオナチ」がいるのでロシアが軍事攻撃をするのが正当と論じる人は、例えば日本の隣国が、台湾や沖縄に「ネオナチ」がいるといって「非ナチ化」を口実に軍事侵攻したときに、その軍事侵攻に賛同するのだろうか?その場合「ネオナチ」を認定するのはその隣国。だと思うと、けっこう怖い。
— Yuichi Hosoya 細谷雄一 (@Yuichi_Hosoya) March 29, 2022