折木奉太郎が指摘したように、犯行声明文を残していくような怪盗気取りの犯人が使うとすれば、普通は「〜を預かった」とか「〜を頂戴した」とかでしょうね〜。
本来なら「○○によって〜は既に失われた」となるはずの文章で省略されている「○○によって」の部分・・・個人的なイメージかもしれませんが、例えば、災害や戦争などといった個人を超えた大きなものが当てはまることが多いように思います。例えば、「ルパンによってダイヤは既に失われた」というよりも、「戦争の混乱によってダイヤは既に失われた」という使い方のほうがシックリとしそうじゃないですか。
また、一連の事件は、「盗難」ではなくて、あくまでも「遺失」だと主張しているようにも受け取れます。そういえば、伊原摩耶花が「夕べには骸に」を見つけるべく部屋中を探したシーンは、観るものに「遺失」を印象づける狙いがあったのかも、なんて考えてみたり。
ということであれば、犯行声明文の「失われた」が意味するのは、一人の怪盗が暗躍しているのではなくて、何か大掛かりなプラン・企画によって物が(盗まれたのではなく)一時的に隠されているだけだ、ということのようにも思えてきます。
以前、こんなことを書いたのですが、その方向に近付いたのかもしれませんね〜。繰り返しになりますが、例え軽微なものでも「盗難」は犯罪ですからねぇ。冗談では済まなくなる可能性のある行為を文化祭で行う必要性があるのかどうか・・・。
予告ともとれる「夕べには骸に」のあとがきで、クリスティの作品にヒントを得たミステリーというような言葉が出てくるので、先ほどと同様に個人的なイメージですが、一人の怪盗が活躍するというよりも、実は被害者こそが真犯人だったみたいな、あるいは関係者全員が犯行に関わっていたみたいな、そんな展開のほうが有り得るような気がしているのですが、どうでしょう?