2012年10月6日土曜日

『愚者のエンドロール』 感想


『愚者のエンドロール』米澤穂信 角川文庫 の感想です。

場面や状況が、アニメと異なっているところがいくつかありますね〜。

古典部のメンバーそれぞれがタロットのどのカードに相当するかといった話は、帰り道ではなくて地学準備室で行われていますし、オブザーバーとして先輩3名の意見を聞くのは、1日に一人ずつ、計3日間にわたって行われています。

この話の大きな転換点は、折木奉太郎が入須冬実に誘われて「一二三」という喫茶店に行った時と、完成した映画についての感想を千反田えるから聞かされる時ですが、前者については、アニメを観ていれば、「一二三」の店内の様子や入須冬実の「女帝」らしい雰囲気などのイメージがよりリアルに再現されます。

後者は、原作では歩きながらの会話となっています。アニメだと川岸に座っての話となるわけですが、重要なポイントなので、アニメver.のほうが落ち着いて二人の会話に耳を傾けられるような感じがします。

奉太郎がえるに本郷真由の真意を説明する場面は、原作ではチャットでしたね〜。そこで、ネットでよく目にした「ほうたる」という呼び方が登場・・・なるほど、そういうわけでしたか w

本郷と江波倉子は親友同士。そして、本郷と入須は、二人のチャットが冒頭と最後に登場するので関係性がなんとなくわかりますが、江波と入須の関係の説明が物足りないような。入須と古典部との連絡係を務めているわけですから、仲が悪いわけはありませんが、この二人が直接話をしたり、それぞれの印象を語ったりする場面は原作にもアニメにも無いんですよね〜。

本郷はまったく登場していないにも関わらず、人柄などが窺い知れるのに、江波はよくわからない人物のまま。気になるところです。

奉太郎と入須の会話や奉太郎の心情の変化などは、原作を読んだほうがやはりわかり易いですね〜。

これで古典部シリーズの文庫は全部読んだことになるのですが、どれも面白かったです。自分の場合はアニメを観てから原作を読むというパターンだったのですが、読んでいる時に声や情景が具体的に脳内再生されるという体験は面白かったです。これは癖になる楽しさかも。

今回、古典部シリーズを読むにあたっては、上の写真にあるように初めて透明付箋を使ってみました。一般的な紙のものと違って、活字が隠れないので読み易さが損なわれないというのがいいですね〜。付箋自体に折り目が付いたり皺になったりしにくいという点も、なかなかいいです。


アニメの感想はこちら。