『うつ病九段』(先崎学、文藝春秋)を読み終わりました。
うつ病の実体験ですけれども、うつ病について自分が如何に何も知らないかがよくわかりました。うつ病は心の病ではなくて脳の機能障害であり、誰にでも起こり得るものの、正しい治療を続ければ必ず治癒するということも知らなかったですからねぇ。
「うつ」という言葉は中学生の時に読んだ北杜夫さんの一連の著作で初めて知ったように記憶しているのですが、北杜夫さんの「躁うつ病」というのは、現在では「双極性障害」と呼ばれていて「うつ病」とは別の病気とされているそうです。
それにしても、精神科の医師であるお兄様の存在の大きいこと。要所要所での的確なアドバイスには、さぞかし心強いものを感じたのではないかと思います。
そして、著者がプロ棋士としての実力を書いている部分がいくつかあるのですが、そうだろうとは思っていても、棋士の立場からはっきり書いてあるのを読むと改めて驚かされます。
こうしたアマチュアと指す時に、プロはほとんど頭を使わない。(略)一万回指しても負けるわけがない
詰将棋とは(略)プロにとってはサッカー選手がリフティングをするような基本練習である。(略)数限りなく、それこそ何万題もやってきた。
九手詰から十三手詰の詰将棋が百問入った問題集。(略)以前の私なら三十分で全問解く本である。
七手詰なんて(略)息を吸うようにできた
まだ他にもあるかも。ちなみに、一番上の引用箇所の「こうしたアマチュア」というのは、著者の見立てでアマチュア初段レベル相当の人のことです。
平易な言葉で書かれた読みやすい本。オススメです。
- Gen's Blog: 借りてきた本(2018,12,05)