2018年9月10日月曜日

『あるいて行くとぶつかるんだ』読了


『あるいて行くとぶつかるんだ』(椎名誠、角川書店)を読み終わったところです。

初版発行が2018年3月という新しい本ということもあって、椎名誠さんに関わる(自分にとっては)新情報もありました。

ひとつは、野田知佑さんについて書いてあったこと。数年前に椎名さんの文章が原因で、二人が決別に至ったという噂がありましたけれども、少なくとも椎名さんのほうは野田知佑さんのことを変わらずに慕っているという印象を受けて少し安心しました。


もうひとつは、北海道の余市の別宅を手放したということ。これまでの本で余市の家について書かれてあるものを読んだ時も維持が大変そうだなァとは感じていましたが、とうとうこういう決断に至ったことに、この家を建てた当時の話を思い出したりして、経った時の永さを感じて感慨深いものがありました。

あと、アウトドアの実践編の知恵みたいなことですが、

四万十川は太くて丈夫な孟宗竹がいたるところに生えているので、そういうところを探してその夜の宿にするのがいちばんいい。
竹林に入っていくと古くて枯れて倒れたやつがけっこうたくさん手に入るから、それを引っ張り出してきて、ノコギリで切っていくと三、四人のチームでの一晩の夕食や焚き火宴会ぐらいでは消化できないぐらい豪勢な焚き火になる。

竹を焚き火の火種にするという発想は、そういえばどういうわけか無かったなァと思いながら読んだ次第。

全体として、「老い」とまではいきませんが、加齢を感じる内容で、落ち着いた雰囲気は好ましいものの、同時にいくばくかの寂しさも感じてしまうといったところでしょうか。

なにはともあれ、良い内容と雰囲気の本でした。