最後の章の「私、旅立ちたい」というタイトルの、「ミスターバイク」に1987年7月から連載されていたという小説は読んでいて小っ恥ずかしさを感じるものではありましたけれども w 全体として心境の描写の上手なことには驚かされました。
第2章「オン・ザ・シートのひとりごと」に、
風がないと、私は困るのです。うろたえてしまう。
風が感じられないと、ひどく哀しくなり、(中略)空気が停滞していると当惑。扇風機でバァーッと煽られて、初めてホッと笑顔が出てくるという異常体質の私。
という文章があるのですが、この感覚はよくわかります。
かつて、東京都心の快適なオフィスで働くうちに「快適なオフィスほど不快な場所はない」との思いが募って辞めてしまった経験がありますしね〜 w 今もよほど悪天候でなければ、そして防犯上の問題が無ければ窓全開で過ごしたい気持ちが大いにあります。
第3章「遠くへ行くほど」では、次の一文に注目。
実はオートバイというもの、 四季を問わず、いつでもグッドシーンを味あわせてくれる。経験も財産も関係なく、必要なのはそれをキャッチするアンテナをいつもビビッと伸ばしていることだけ、というのが嬉しい。
この「キャッチするアンテナ」の重要性というのは、自分が好きな漫画でありアニメでもある「ARIA」シリーズにおいても繰り返し言われていること。でも、これが簡単なようでなかなか難しいわけで。
アンテナの感度を高めるには、やはり(広い意味での)勉強かなァと思います。
同じく第3章で、北海道のアリスファームを訪れた際のことが書かれてあります。ひょっとすると、三好礼子さんがその後、農場など土地の恵みを体感する活動のきっかけとなった訪問だったのかも。
いろいろと書きましたが、若くして世に出てくる人というのは、人を惹きつける何か、人を巻き込む力、そして、行動力、企画力などでやはり突出しているような気がします。
バイクに乗ったことの無い人にこそ読んでもらいたい本です。
- Gen's Blog: 借りてきた本(2018,06,19)
それにしても、この本の中古品価格はすごいことになっていますねぇ。