「徘徊」という言葉は、「どこともなく歩きまわる」(広辞苑)という意味があるため、「何もわからない人が、ぼんやりと意味もなくふらふらと歩き回る」といった様子をイメージする人も多いと思います。
しかし、私がこれまでに担当してきた認知症の人の中には、吉川さんのように「何とか自分の帰るべき道を見つけよう」と必死になって歩き、疲弊して見つかる人がたくさんいました。
「徘徊」という言葉が持つ一般的なイメージは、認知症の「見当識障害」によって道に迷っている人の切羽詰まり、なかばパニックに陥ったような状況とはかなり乖離しているということ。
そもそも、「見当識障害」で道に迷ってしまった人がパニックになっている可能性があるということ自体に思い至りませんでした。
そうした状況下では、例えば交差点の信号が目に入らずにふらふらと車道に飛び出したり、動かずにいれば助かるものを無駄に動き回って体力を消耗して最悪のケースになるという可能性もあるということですよねぇ。