小田嶋隆(おだじま・たかし)さんが24日、病気のため死去した。65歳。葬儀は近親者のみで行う。
彼の批評的言説のきわだった個性は、自分の立ち位置が「異端」であることを前提にしているのだが、「正系」の人たちを言葉の力で自分の手元へ手繰り寄せようと努力する点にあった。
彼は少数派の立場から、多数派に対して彼我の違いが奈辺にあるかを「説明」しようと試みた。これは稀有のことだと思う。ふつう「少数派」「異端」は「多数派」「正系」に背を向ける。まず手を差し伸べたりはしない。でも、小田嶋さんはまっすぐ多数派に向かって語りかけた。そして懇切丁寧に「説明」を試みた。もう一度言うが、これは稀有のことである。