2023年1月1日日曜日

『小説伊勢物語 業平』

著者の髙樹のぶ子さんは、このちょっとつかみどころのない古典を、業平の15歳の元服から辞世までの一代記として小説化することで、今の時代によみがえらせてしまった。原典に親しんできた僕としては、あの小さなエピソードをこんなところへ持ってきてこうつなげるのかと、作家のその想像力に圧倒される思いでページをめくりました。
もう1冊お薦めしたいのが、清少納言の生涯を描いた小説『 はなとゆめ 』(冲方丁著、角川文庫)です。一人称で書かれているため、清少納言がどのように生き、いかに『枕草子』を書くに至ったのかが、彼女の目線で語られます。