長野県須坂市に米子不動という場所がある。四阿山の北面にある古い爆裂火口であり、高さ100m程度の垂直壁が帯状に数kmにわたって延びている。この壁にかかる氷瀑がアイスクライミングの対象になったのは1984年ごろのことらしい。
夏には当然、氷はなく、名前がついている滝は米子不動の御神体である「不動滝」と「権現滝」だけだ。(中略)これが冬になると様相が変わる。標高からくる乾燥と低温、垂直の懸崖、そして適度な水量、これらの条件がちょうどマッチしたのだろう、国内では最大の氷瀑群を形成する。全部で十数本の氷瀑があるが、そのどれもが垂直に迫る傾斜と100m程度の高さを持っており、初級者向けというべきものはひとつもない。