『本と鍵の季節』(米澤穂信、集英社)を読み終わりました。
高校生の男子生徒二人がメインのミステリーということで、どうしても古典部シリーズと比較してしまうわけですが、物語の緻密さということでは『本と鍵の季節』のほうが上だと思います。これは著者の作家としてのレベルが高まり続けていることの証でもあるわけですから、仕方のないことでしょう。
古典部シリーズで決定的に物足りないというかモヤモヤするところは、奉太郎の姉の折木供恵の存在ですね〜。全てを見通している神の代わりみたいな存在が最初から用意されているのは、話の展開上困った時の折木供恵頼りという印象がつきまとうわけで、ちょっと狡いというか w
『本と鍵の季節』では折木供恵に該当するようなキャラが登場することもなく、ストーリーが閉じた人間関係の中で巧みに展開していきます。
独立しているように思えた各話が、後半になると関連してくるのも面白いところ。
久しぶりに米澤穂信さんの本を読みましたが、堪能しました。
- Gen's Blog: 借りてきた本(2019,07,18)