2022年11月8日火曜日

脳梗塞による後遺症で窮地に陥った若き元教授

言葉が出てこない。文字を正しく認識できない。脳梗塞の後遺症による失語症だ。第一線の研究者として活躍し、語学も堪能だった渡部にとって、これほどつらいことはない。
障害者雇用で臨時職員として働いている。勤務日は週3日、データ入力の作業だ。時給は1150円。その給与と月8万円ほどの障害者年金が現在の収入だ。
渡部には同居する78歳の母親がいる。その母親も2年前に一時入院したことをきっかけに介護が必要な状態になった。母親のヘルパーとデイケアサービスの支払いは1カ月で20万円ほどかかる。
役所に相談したくても、リハビリ病院で自分の現状を正確に伝えたくても、言語障害のある渡部には言葉を尽くせない。渡部に寄り添い、代弁する者もいない。