2020年12月31日木曜日

「ガンコガシ」伝説

市の南西部に位置する集落「見内(みうち)」。その昔、老人を生きたまま棺桶に入れて、集落の裏山にあたる「松尾山」の山腹の急峻な尾根から谷底に向けて投げ落としていたというのだ。人々はその場所を「ガンコガシ」「ガンコロガシ」などと呼び、今でも地域の年配者の間で、悲しい歴史秘話として伝わっている。


「見内は式内社を有しているため村内を神域とし、『死穢(しえ)』については敏感すぎるほどのしきたりを課せられていたと考える。このことから村内に死者を埋葬することはできなかった。現在も一部の住民の『詣(まい)り墓』はあっても納骨や遺体を埋める『埋(い)け墓』はなく、今でも集落の墓地は約2キロ離れた隣の集落の波賀野にある」


棺桶を谷底に落としたということが、はたして過失によるものなのか故意なのかは危険と隣り合わせで棺を運んでいた当事者以外は知りようがないですし、運び手は葬儀が終われば貴重な働き手だったり家の新しい主人となったりするわけですから、そのあたりの事情を深く問い詰めることを避けた時代があったということなのではないでしょうかね〜。