2022年5月27日金曜日

恵山岬沖に沈んだ米海軍潜水艦アルバコアを発見

沈没艦の全体像は捉えきれなかったが、艦橋周辺や潜望鏡部分とみられる形状を確認。艦首、艦尾周辺は何らかの原因で失われ、艦橋部分を中心に前後約47メートルが残存しているといい、右舷側に10度ほど傾いた状態で沈没していた



米海軍の潜水艦「アルバコア」を探索するプロジェクトが2022年5月25日から26日にかけて行われ、26日には水深250メートルの海底に沈むアルバコアとみられる構造物の撮影に成功しました。
探索は東京大学の浦環(うら たまき)名誉教授が代表理事を務める「ラ・プロンジェ深海工学会」の調査チームにより実施。チームは旧日本海軍の潜水艦「伊58」「呂500」などの探索に成功した実績を持ち、今回のアルバコア探査は5番目のプロジェクトとなります。
 


10月24日、アルバコアは11回目の哨戒で日本近海に向かった。10月28日にミッドウェー島で給油した後三陸沖に向かったが、それ以後通信が途絶え行方不明となった。帰投予定日である12月10日になっても帰投しなかったため、12月21日に亡失が認定され、1945年3月30日に除籍された。これより先の11月7日、一隻の潜水艦が日本沿岸で触雷して沈没していた。これがアルバコアだった。
12時35分、第七福栄丸が恵山岬灯台105度3.5海里の地点を航行中に左舷後方170度2,500メートルの地点から水中爆発音を聴取、それと同時に爆雷の爆発音のような衝動を船体に受けた。また、下北半島桑畑(青森県風間浦村)の防備衛所が水中聴音機で52度約40キロの方向から2発の水中爆発音を観測、その方向に黒煙があがるのを確認した。同じく恵山見張所でも機雷爆発音を聴取した。第七福栄丸では水中爆発音聴取と同時に即座にその方向を見ると、推定10メートルばかりの盛大な水柱を確認し、0.5秒の間隔で2つの大きな爆発音と船体への振動を感知した。この時、黒色の潜舵らしきものが一瞬見えたがすぐ消え去った。潜水艦が機雷に触れたことを確認した第七福栄丸は面舵に反転しその地点に急行。爆発地点の直上付近で約1時間探査を行なった。この頃には大湊航空隊の航空機も飛来し、多数の浮遊物を確認した。
現場では約5分間気泡の噴出が収まらず、重油流出も7分後から確認され、梅干大の油泡が無数に浮かび上がっていた。第七福栄丸は油泡の中に甲板の木片、ベッド、書籍、タバコ、衣服や糧食などが多数浮上してくるのを確認。一部を参考品として回収した。
この海域で同時期に撃沈された潜水艦は他になく、アルバコアの戦没はほぼ確実と見られる。アルバコアが触れたと思われる機雷は、1943年11月8日に敷設された機雷を1944年7月22日に補強したもので、機雷は13メートルないし15メートルの深度に九三式機雷250個が敷設されていた。アルバコアの触雷位置は、恵山岬灯台105度3.5海里の地点であった。